複雑乙女心とメンズポッキー
「どーもすいませんでしたー」
「語尾を伸ばすな、語尾を」
「すいませんっしたっ」
「心がこもってない」
「すみません」
「普通すぎ」
「は?なんだそりゃ」
「ちゃんと謝れ、っていってんの。花村がサボったせいでこっちまでとばっちり」
「あーあーあー!悪かったって、反省してますって!」
「ほんとにー?」
「ほんとほんと」
「んじゃあ、誠意を示してもらいましょうか」
「げ、やっぱそれか」
「ん?それ、ってなにさ」
「どーせ里中のことだから、肉オゴレーとかいうんだろ?」
「なーんだ、花村。よく分かってんじゃん」
「イヤ、ムリ」
「なんでよ」
「給料日前。さすがのオレでもツケとかもうムリ、てかマジムリ」
「ちっ……つかえない」
「今回ばかりは諦めてくれ」
「じゃあ」
「ビフテキコロッケも諦めてくれ」
「なんでさ!」
「100円も惜しみたい、哀れな男心を汲んでおこうぜ、そこは。その代わり」
「その代わり?」
「いーもん持ってんだよ……ジャッジャーン!メンズポッキー!食う?」
「食う食う!でもなんでメンズポッキー?」
「なんか、突然、すげー食いたくなってさ。五限抜けてパシってきた」
「それでいなかったのか……ま、いーや。いっただっきまーす!」
「おー食え!食え!」

「あれ……あのさ、メンズポッキーって100円じゃ買えなくなかったっけ?」